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『南海トラフ巨大地震・想定の整理』最終回。
南海トラフ巨大地震が発生した場合、揺れから始まり何が並行して起こるのかを考え「22分類」しました。
今回は最後の項目『⑳南海トラフ地震臨時情報』を考えます。
令和6年8月8日に発生した日向灘を震源とする地震に伴い南海トラフ地震臨時情報(以下、臨時情報)が発表された。
臨時情報には発表基準があり、南海トラフ地震想定エリア内でマグニチュード6.8以上の地震が起こったことで、基準通りに粛々と『南海トラフ地震臨時情報・調査中』が発表され、続いて『南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)』を発表した。
そこから8月15日の17時までの1週間で「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」の呼びかけは、ルール通りに終了したのです。
さて臨時情報は『何のための情報か?』というと、南海トラフ地震は発生すると被害が非常に大きい一方で、「いつ起きるか」をピンポイントで予知することはできません。
そこで、南海トラフ巨大地震が「いつもより起きやすい状態になった可能性がある」と気象庁が判断したときに発表される情報です。
通常より巨大地震のリスクが高まった兆候が見られた場合に、国民や自治体が事前に備えを強化する判断材料として発表されるのがこの「臨時情報」です。
決して、避難命令などではなく「心構えと備えを強めてください」という合図です。
臨時情報は『どんなときに出るのか?』というと、気象庁が南海トラフ沿いで大きな地震が発生した場合や、プレート境界で異常なゆっくりすべりが観測された場合、その他、巨大地震との関連が否定できない現象を観測・評価した場合に発表されます。
臨時情報は情報の種類が状況に応じて4つの区分に分かれています。
『①調査中』は、何か関連があるかを調べているという段階です。
『②巨大地震警戒』は、発生の可能性が相対的に高まったことで自治体は事前避難などを検討します。
『③巨大地震注意』は、可能性がやや高まった状態であり、家庭・地域で備えの再確認をしましょうというものです。
『④調査終了』は、関連性は低いと判断された場合に発表されます。
臨時情報が発表された場合、私たちは何をすればいいでしょうか? 臨時情報が出たら『家具固定・非常持出袋の再確認』『家族や職場での安否確認方法の再確認』『避難先・避難経路の再確認』『高齢者や要配慮者の支援体制の再確認』をしましょう。
つまり特別な行動よりも「備えのギアを一段上げる」程度の感じで良いでしょう。
しかしながら、発表後に多くの勘違いが発生したのも事実です。
×「臨時情報発表時=必ず地震が起きる」
〇「いつもより注意が必要な状態」
×「情報が出ていない時=安全」
〇「南海トラフ地震は常に起こり得る」
さて、「備えのギアを一段上げる」とはどういうことかというと、生活を止めるほどではないけれど、いつ起きても動ける状態に近づけておくということです。
具体的に考えてみましょう。
1.『まずやること(その日~数日以内)』
今すぐできる低負荷な行動が良いでしょう。
非常持出袋の中身を確認(水・食料・懐中電灯・電池・常備薬・モバイルバッテリー等)やスマホ・モバイルバッテリーを常に満充電にしておくことです。
そして家族や周囲の人と「もし今起きたらどうするか」を簡単に共有しておきましょう。
「昼間なら○○、夜なら○○に集合」ということです。
ただし、備える物も新しく買うより『確認すること』が重要です。
2.『家の中の危険を減らす』
被害を小さくする為のギアアップです。
寝室・居間の家具の転倒防止を再確認しましょう。
(特に「頭の近く・出入口付近」)、落ちやすい物を一時的に低い位置へ移動することも重要です。
寝室には、スリッパや靴を置く等も地震直後のケガ防止となります。
3.『行動を具体化する』 もしもの時に、迷わず動ける状態にしておきましょう。
避難先を「候補地」から「行く場所(第一・第二候補)」を決めることが重要です。
また、そこに行くまでの避難経路を1回、頭の中でなぞったり、実際に歩いてみるのも大切です。
更には、要配慮者(高齢者・子ども・障害のある方)との役割分担の確認も、決めておくことが重要です。
4.『生活を少しだけ防災寄り』
平常生活を保ったままで強化しましょう。
食料・水をいつもより多めにストック(ローリングストックでOK)、自家用車のガソリンは半分以下にしないとか、洗濯・入浴・給湯を早めに済ませておくことも、起こる事への不安予防になります。
5.『自治体・地域の動きを意識する』 個人から地域へギアアップしましょう。
市町村の防災メール・HPをこまめに確認したり、「警戒」が出た場合は、自治体の指示を最優先に考えて、地域の避難情報・避難所開設情報に注意することはトテモ大事な考え方となります。
× 一斉避難・パニック行動をする 〇 起きたらすぐ行動できる状態を保つ
つまり『備えのギアを一段上げる』とは平常と非常の間に立つということです。
臨時情報が発表されたときの心構えは、行動より先に「考え方」を整えることが核心になります。
結論から言うと、心構えは次の3本柱です。
①「起きる前提」で考え行動することだが「今すぐ起きるとは決めつけない」 臨時情報は予告ではなく、警戒レベルを上げる合図だと受け止めましょう。
②「正しく怖がる」ことを意識する
恐怖そのものは悪くありません。
問題なのは 過剰か、無関心かのどちらかに極端に心が振れることです。
情報は気象庁・自治体を一次情報にSNSの憶測・断定表現からは、距離を置くこと「備えているから大丈夫」と自分に言える状態を作っておくことです。
不安ではなく『準備する』に変換しましょう。
これが健全な心構えです。
③「自分が取る行動は、もう決まっている」と思える状態にする
心構えのゴールはここにあります。
地震が起きたら→まず身を守る→揺れが収まったら→誰々に連絡したり、何処何処に避難する。
夜・仕事中・外出中、それぞれ想定し、家族・職場と『判断基準』を共有しましょう。
迷わないことが最大の安心となります。
心構えをひと言で表すと「日常を続けながら、非日常に一歩近づいておく」。
生活は通常通り。
ただし、判断と行動はいつでも切り替えられるように「備えている自分」を信じられる状態にアップデートしておきましょう。
さて、南海トラフ地震は、情報が出ていない時間の方が圧倒的に長い災害とも言われています。
防災の考え方としては、『事前防災』から『即応防災』への切り替えスイッチを心に準備しておくことが重要です。
いつも心に防災切替スイッチを準備しておきましょう。

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