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『南海トラフ巨大地震』その15「想定の整理」 南海トラフ巨大地震が発生したら、揺れから始まり、何が並行して起こるのかを考え「22分類」しました。 今回は『⑧ 救命』から考えます。 日本赤十字社ホームページに、興味深い記事がありましたのでご紹介します。 国民の8割「一次救命処置ができることは必要」、一方で50%を超える人が「何をすれば良いかわからず、特に何もしていない」と行動が伴っていない。 事故や急病で呼吸や心臓が止まった人に対して、救急車が到着するまでに行う取り組みである一次救命処置を実践できることについて、「とても必要だと思う」と回答した人は67.5%、「やや必要だと思う」と回答した人は18.9%と、8割を超える人が必要性を認識している。 上記の8割超の人のうち、一次救命処置を実践できることの必要性について考えるようになったきっかけの上位回答は、「交通事故(62.1%)」「レジャーや運動中の事故(42.8%)」「地震や豪雨などの自然災害(33.6%)」です。 2022年に社会的な注目を集めた「人混みで発生した雑踏事故」は32.2%、「街中で発生した刺傷事件」は31.4%という結果となっています。 同じく、一次救命処置の必要性を認識している8割の人の中で、実際に救命講習の受講など行動に移さず「特に何もしていない」人は54.1%と半数を上回る状況となっています。 必要性を感じながらも具体的な行動に移せなかった理由として、「何をすればよいのかわからなかったから」が47.1%にのぼった。 次いで「調べたり学んだりしても、自分には実践できる自信がなかったから(21.2%)」「行動に移すほど、自分にとって優先度が高くなかったから(13.9%)」と続いたと、このように記載されています。 多くの人は「一次救命処置ができることは必要」だが「何をすれば良いかわからず、特に何もしていない」ということが現実問題ではないのでしょうか?なぜか?それは『自分事となっていないからだ』と考えられます。 道で倒れている人を助けることは「必要だ」と判っていても、現代社会では『声を掛けることのリスク』が存在します。 昨今、様々な事象・事件が発生していることで『声を掛けることも躊躇する』と考えられるのです。 不思議な世の中になったものです。 これらで共通することは倒れている人が『赤の他人』だということです。 まったく知らない人ということです。 その知らない人のために、自分の貴重な時間や自分の貴重なお金を使ってまで、救命講習を受講し、救命処置を施したとしても、悲しいことに様々なリスクが存在しているのが現代社会です。 そのリスクを背負ってでも『人を救う』という使命があるのかということになるのですが、しかしながら、「目の前で人が困っていることを見過ごせない人が多い」のも心温かな事実です。 ならばリスクを減らすことができれば、応急手当を躊躇なく行うことができるのではないでしょうか。 その答えは「複数人で対応すること」。 これでリスクは軽減されるはずです。 では、どのようにすれば、それができるのかと考えると、やはり『声掛け』なのです。 それも倒れている人に向けてではなく、そばに「居合わせる人(バイスタンダー)の人数を増やすことが近道です。 応急手当の講習でも習う一番最初の言葉『だれか!助けてください!』と大きな声で対応可能な人数を増やすことが重要となります。 “これができるかどうかに掛かっている”と言っても過言ではありません。 もしも、周囲に誰もないなければ「119番・110番」のどちらでも緊急電話を掛けながら対応をすることが重要となります。 頭の中で「どうしよう?」と思ったら躊躇なく「119番・110番」に電話をして指示を仰ぐことでリスクは軽減されるのです。 それでも「知らない人にはちょっと」と思われる方は、自分が対応できなくても、誰かに伝えることが重要です。 「見なくて良いものを見てしまったなぁ」と誰もが頭の中を過るかもしれません。 実際、きっと多くの人はそう思うでしょう。 「自分が対応しなくても、誰かがするだろう」と思うでしょうが、あなたが通報し、その場から離れたとしても、あなたのできることをあなたのできる範囲でやったということになるのです。 現代社会では、逆に不用意に近づくリスクよりも正しい行為だと考えられるのではないでしょうか。 しかし!あなたの家族や知人ならどうでしょう。 たぶん何の躊躇もなく「即対応」の行動に移るでしょう。 それはなぜか?『助けたい人』だからではないでしょうか。 これからもみんなと一緒にいたい、みんなと会話をしたい、みんなと美味しいものを食べたいという『楽しい記憶』として残したいからこそ『助けたい』という感情がわき上がるのではないでしょうか?昨今の社会状況からやはり『救命処置』が理解されていないのです。 なぜ人を助けるのか?そこには『誰を助けるのか?』が曖昧な状態での一次救命処置啓発となっているのです。 最後に問います『あなたは誰を助けたいですか?』 このことを心の中に定義できれば、必ず一步踏み出す勇気が沸きます。 私たちと一緒に学びましょう! ![]() |