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2022年10月号 |
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前回、燃焼とは「発熱・発光を伴う酸化現象」で、燃焼が起こるには、可燃物(燃えるもの)+酸素(空気など)+熱源(点火エネルギー)という燃焼の三要素が同時に必要です。ならば「火を消す(消火)」には、燃焼の三要素のどれかひとつの要素を取り除けば良いということだと説明しました。 今回は、その『消火』についてお話しします。 一般的には4種の消火方法があります。 ① 冷却消火法 熱源から熱を奪い、燃焼物を引火点以下に下げる方法で水をかける方法が一般的に知られているものです。木造住宅の火災で注水消火がそのひとつ。 ② 窒息消火法 燃焼に必要な酸素の供給を絶つ方法で、二酸化炭素などの不燃性ガスや乾燥した砂や不燃性の泡により燃焼物を覆う方法で粉末消火器もこの方法。アルコールランプのフタをかぶせて消火する方法もそのひとつ。 ③ 除去消火法 燃焼を始めていない可燃物を燃焼している部分から切り離す方法で、消防設備が不十分だった江戸時代の消火方法で、燃えていない建物を取り壊して延焼を防ぐ方法。破壊消防ともいわれるもので山火事もこれを利用することがあります。ガスの元栓を閉めてガスの供給を止めることや、ロウソクの火に息を吹きかけて可燃物であるロウの蒸気を除去することもそのひとつ。 ④ 希釈消火法 可燃性ガス濃度や可燃物組成を燃焼限界以下に薄める方法で、燃焼している水溶性のアルコールを水で薄め液面からの可燃性蒸気の発生を減少させる方法。 このように火災の種類により消火方法が異なることを覚えておきましょう。 つぎに火災の種類。 火災には、A火災、B火災、C火災、D火災やガス火災があります。 今回は一般的なA・B・C 火災について学びます。 【A火災】(普通火災、一般火災) 木材や紙などの一般可燃物が燃えて起きた火災がA火災。普通火災や一般火災とも呼ばれます。普通住宅やビルなどで起こる内部火災が多く、火の不始末などの人為的なミスによって起こるものや不審火(放火)などが主となります。 A火災に使用できる消火剤 A火災は、水で消火が可能です。その他の消火剤としては、強化液、泡、りん酸塩類粉末系のものなども問題なく使用できます。 【B火災】(油火災) 引火性液体が燃えることで起こる火災はB火災。ガソリンなどの石油類、食用油などの油脂が原因となる火災で『油火災(あぶらかさい)』とも呼ばれます。油脂類は非常に燃えやすいという特徴を持っているため、引火性液体が消えなければ燃え続けるなど、非常に危険性が高い火災となります。 B火災に使用できる消火剤 B火災の場合は、水で消火することができません。水を使った消火では、燃えた油が水面に浮いてしまい、逆に火災を拡散してしまう恐れがあります。消火活動では、霧状の強化液、泡、ガス、粉末系の消火剤が使用されます。これらの消火剤は、抑制効果や窒息効果により消火をするものです。 【C火災】(電気火災) 電気設備による火災のことをC火災。電気室や発電機など、電気設備に何らかの問題がおき、電流が発火原因となった火災で『電気火災(でんきかさい)』とも呼ばれます。火災による被害だけでなく感電の危険もあるので注意が必要です。 C火災に使用できる消火剤 C火災は、棒状の水や棒状の強化剤、泡などを消火剤として利用すると、感電の危険があり、適していません。霧状の水、霧状の強化剤、粉末系の消火剤を利用して消火活動を行います。 最後に消火器の使用方法を学びましょう。 ① レバーの下側を持って消火器を運ぶ 消火器を準備!誤って消火剤を放射しないように消火器を運ぶときはレバーの下だけを片手で持つ。 ② 立ち位置を決め、安全栓を抜く 必ず風上に立ち、消火する位置を決める。火元からの距離は、炎の高さの2~3倍が目安。立ち位置が決まれば安全栓を抜く。 ③ ノズルを持ち、火元に向ける ノズルをしっかりと持ち、炎ではなく火元に向ける。 ④ レバーを握って消火剤を放射する ノズルを火元に向けたまま、レバーを握り消火剤を放出します。消火剤の放射は数十秒で終わるので、狙いを定め効率よく消火します。 では、 次回は避難について |