加古川グリーンシティ防災会 Q&A

         皆様からのご質問で多かったことについて掲載させていただきます。

Q 1. マンション内で、防災組織をつくったきっかけは?
Q 2. 住民の防災意識を高めるために、どのような取り組みを?

Q 3. 「町内チャンピオンマップ」とは?
Q 4. 「命のライセンス」とは?

Q 5. 近所付き合いが希薄なマンションで、住民同士のつながりを築いていくために、どのような工夫を?
Q 6. これまでの取り組みを通じて、感じたことは?
Q 7. 防災活動に携わる上で、心がけていることは?
Q 8. 今後、どのような活動をしていきたいか? また課題は?
Q 9. 新しい防災訓練 DIG(災害図上訓練)とは?
Q10. 「1000円出しの会」楽しくやろう防災会議とは?
Q11. 「土手の花見」の精神とは?

マンション内で、防災組織をつくったきっかけは?

 本来、一定規模以上のマンションには法的に自衛消防組織を持つことが義務づけられているんです。1997年当時、私たちのマンショングリーンシティ管理組合の中には防犯防災委員会と言うものがあり、その中に元々から自衛消防隊をもっていたんです。実際、そのころの防犯防災委員会と言うものは、消防的な活動を中心にしていたのが実情でした。しかし、
防犯防災委員会では、この消防組織だけでは足りないと強く感じていました。事後処理的な自衛消防隊や、言葉だけ一人歩きしだした「防災」言う言葉の意味に強く疑問を感じていました。当時はこの言葉は見つからなかったのですが、今で言えば「減災」に向けた取り組みを始めたいと研究初めていました。
 そうしたところに、加古川市から自主防災組織設立の呼びかけがありました。それは300世帯に対して30万円、私たちのマンションは約600世帯あるので60万円の補助金支給(一時金)の打診があったため、今までの研究の成果を元に防犯防災委員会をリニュアルし「加古川グリーンシティ防災会」として設立を一気に加速させたのです。

住民の防災意識を高めるために、どのような取り組みを?

 現在までに本当に多くの取り組みをしました。最初は、赤十字による救急救命法の講習や、警察にお願いして、子ども安全教室などを開催すると同時に、徹底した住民による「地域の夜回り」を始めました。そのような中、加古川市が行った自主防災組織の講習会で、その時の講師の「元尼崎消防局長の堂本先生」が言われた内容が、我々の研究していたことと一致する事があり、現在の「町内チャンピオンマップ」作成の元となりました。
「町内チャンピオンマップ」とは?

 マンションには、いろいろな職種や免許を持った方々がいらっしゃいます。それらを防災に使わない手はないと考えました。グリーンシティの防災意識の向上と、緊急時や災害発生時に何をするべきか、何を応援してもらうのか、緊急ボランティアをどのように呼びかけるのか等、グリーンシティの知恵袋集団やご意見番的集団として協力をお願いし、もしものときに適切な人に迷わず助言・力をかりることができるようにしました。
 災害発生時、自分一人で対応することはできません。しかし、多くの人が集まれば色々な物事への対応が可能になるはずです。子守ならできる、何でもやります、お手伝いであればやります、炊き出しできます等、何でも登録していただき、いざというときの防災会の強い支えにします。現在の登録メンバーは約200名を超えました。それと平行して、ひと声かけて登録やあんしんカード、あいさつ運動、親切運動、安全活動など色々な取り組みを始めました。
「命のライセンス」とは?

 これは、静岡県の防災局からデータをいただき作成したもので、グリーンシティに合うよう変更し作成したものです。
わが家でできる防災訓練と言う位置づけで、突然大地震が発生してもあなたとあなたの家族が無事でいられるようにと言う思いで作成しました。
 地震発生直後から3日間をいかにあせらず過ごすかをまとめています。常に携帯することができ、必要なときに取り出して見られるようにカードサイズにしました。
  掲載した内容はいざというときに必要な最低限の内容にしました。折に触れて読み返し、いざという時に慌てず行動できるように、また、裏面には心肺蘇生法や避難場所、防災関係窓口、そして災害伝言ダイヤルの使用方法などを掲載しました。
 「命のライセンス」は防災会メンバーの手作りです。カードサイズにしたために文字が小さく見えにくいとおっしゃる方には、見やすい大型サイズも用意しました。グリーンシティのホームページにも掲載致し多くの方々にデータの提供を行ったり、小学校や中学校の防災学習資料として提供したり、他地域の方からの要請で他の地域版も作成しご提供したこともありました。
 今後、起こりうるスーパー広域災害と呼ばれる東海・東南海・南海地震の連続性に適応できる形に「命のライセンス」を変化させたいと思っています。
近所付き合いが希薄なマンションで、住民同士のつながりを築いていくために、どのような工夫を?

 マンションはプライバシーが守られる反面、ご近所付き合いが薄いのが最大の問題なんです。この問題を如何に解決し、どうすれば仲間を増やし、みんなが防災活動に取り組み、防災意識の向上を計ることができるようになるかを考えました。楽しくなければ防災の輪は広がらない「楽しく防災活動をやろう」というテーマで、住民の方々に対し多彩なアイデアを仕掛けたことで乗り越え、仲間づくりをすることに大成功しました。
  どこでもやっていることでしょうが、基本的には、あいさつ運動を徹底的にやりました。今では子どもから大人まで、明るくあいさつのあふれた町になっています。
これまでの取り組みを通じて、感じたことは?

 「まち」というのは必ずしもハードだけではなくて、ソフトとハードが複合したものだと思います。
生きていくためハードで一番必要で基本的なインフラ(水・電気・ガス)をライフラインと言うのであれば、コミュニティこそがまさにソフト部門のライフラインだと思います。
  グリーンシティは、防災活動を通して、多くの人と出会い、本当に友達が増ました。出会ったすべてが、ブレインであり、ライフラインですね。
私はその中のコミュニティそのものもライフラインだと思っているのです。
防災活動に携わる上で、心がけていることは?

  楽しくなければ防災の輪は広がらない「楽しく防災活動をやろう」と言うことを絶対に忘れないようにしています。防災活動は「継続すること」が大きな力になります。そのためには楽しくなければならないと考えています。
  外側からまちをつくっていくのではなくて、中の人が持っている要求とか希望とかいうようないろいろなエネルギーがあります。通常は、そういう要求や希望というものは衝突するものなのです。「楽しくやろう」基本とすることにより、そのエネルギーをうまくコーディネートすることができて、すごく大きな力に変えていくことができます。
  仲間の持っているいろいろな知恵や能力を合わせることがエネルギーになるのです。それぞれの持っているノウハウは限られています。限られたものが運営するということは非常に限られた運営しかでき無いと思うのです。「防災活動」も限られた人たちだけが請け負ってしまったのでは、非常に限られたものしかつくれないと思います。みんなのの知恵や能力を生かせるシステムをつくらないと駄目だと思うのです。

「楽しく防災活動をやろう」を合言葉に、災害対しては「正しく恐れること」「普段の生活の中で楽しく備えること」を今後も防災活動で実施実践しています。

今後、どのような活動をしていきたいか? また課題は?

 私たちのまちの再生医療というかまちの治療には、DIG(災害図上訓練)がかかせませんね。
 現在、定期的に行っていますDIG(災害図上訓練)を研究し進化させていくことですね。グリーンシティのDIGは、DIGを考案された富士常葉大学の小村先生とハローボランティアネットワーク三重の平野さん二人からの直伝なんですよ。

 DIGから出てきた問題のひとつとして、昼間の防災体制の構築です。
 現在、防災会として主力に動いている方々は、昼間お勤めに行かれている方が多く、昼間に災害が発生した場合、その瞬間にグリーンシティいる方々などを対象として、学校の先生方や県や市・警察・消防などの方々にもご協力いただき、DIGを行い、想定される多くの諸問題をできる限り解決できるように繰り返し学習していきたいと思います。

 また、加古川市消防本部協力の下、市民救命士などの育成要請を行い、実践的な心肺蘇生法やAED使用方法・応急手当などの学習を行っていきたいと思います。
 そして、それらに伴う、独居老人や障害者住宅への個々に違う連絡伝達システムの強化構築を早期に図りたいと思っています。
 
  また、最低限のライフラインの確保のために、グリーンシティには大型発電機はあるものの、現在各地で問題となっているエレベータを動かすだけの電力供給システムである緊急発電設備または蓄電設備を確立したいと思います。
 なにしろ、グリーンシティはハードの設備ほとんどが電力に頼っているものなので、早期電力回復が単独でもできるよう検討中です。

 もう一点が災害時のトイレ問題です。トイレ使用後の排水量は10リットルが必要だと言われています。加古川には、いたるところに地下水の水脈があり、飲料水としても使用可能な、地下30メートルの井戸掘りを開始しました。

新しい防災訓練 DIG(災害図上訓練)とは?

 DIG(災害図上訓練)における防災訓練を導入しました。ゲーム感覚で災害時の対応を想定しながら図上で訓練を行うものです。
 DIGとは、ご存じの通り、手軽におこなうことが出来る防災訓練なのですが、グリーンシティでは、2003年1月から計画に入り、DIGを行うまでに約2年の歳月がかかってしまいました。2003年1月に小村隆史教授の講演を聴いて、これからの防災訓練はこれやと思いましたね。ところがDIGに関する資料がないんですよ。いろんなところに問い合わせましたね。しかしそのころは、DIGも今ほどメジャーではなくて、なかなか資料が集まらないんですよ。そんな中、静岡県の防災局から名古屋消防がDIGに関しての面白いマニュアルを作っていますよと、聞いたものですから、すぐに名古屋消防に連絡して、DIGに関しての情報提供をお願いしました。快く資料を提供していただきました。その時に聞いたのが、「実はこの資料は、名古屋消防の職員が三重県に出向いて、出来上がったもので、詳しくは、三重県のハローボランティアネットワークの山本さんに聞いてください。」と言われまして、やっとたどり着いたかと思いきや、山本さんの口から、「このDIGは、ハローボランティア・ネットワークみえ の平野さんと、富士常葉大学の小村教授で考え出されたものだと聞き、なにかスタートに戻ったような感じでした。」
 平野さんに連絡すると、快く色々なことを教えていただき、やっとこれでDIGが出来ると思ったのもつかの間、平野さんの口から気になる一言が、「きっちりやるなら、災害被害想定だけは正確な情報を元にしてくださいね」と言われたんですよ。そんなもんどこにあるやら、市役所に聞いても無いの一点張りだし、えぇーいもう見切り発車すればいいかとも思っていたら、さすが兵庫県ですよね。兵庫県地震災害想定調査報告書があったんですよ。嬉しかったですね。それから、消防庁の方から教えていただいた、簡易型地震被害想定システムのプログラムなども手に入り、それをもとにやろうとおもっていたとき、うちの中学校でPTAのあつまりのときに先生とそういう話をしていたら、「それって、これのことかぁ」と出してきたのが、何とも立派な加古川市地域防災計画書だったんですよ。「ええーっ」て感じでしたね。なにこれ、何でこんなものが存在するのって感じでした。そして、それらを元に一気にDIGに向けて加速していきました。そして始まったDIGは、本来のDIGと、そして京都大学が開発したクロスロード(これの説明はしませんが、)を足したグリーンシティオリジナルDIGが完成し、本年度は3回DIGを行いました。3回目は、高校生や中学生も参加して、なかなか斬新な意見が出ていましたよ。

「1000円出しの会」楽しくやろう防災会議とは?

 「1000円出しの会」はみなさん興味津々ですよね。グリーンシティでは、会社関係や仕事関係など利害関係のない仲間が集まって、腹を割って話をするコミュニティの場です。理事会、役員会、夜回りなどの後に1000円ずつ出し合ってやる飲み会です。この会の中から色々なアイデアが生まれました。
 アイデア発掘の場でもあり、気軽に仲間を増やしていける場です。この会を通して、多くの人材を防災会に引き入れていきました。
「1000円出しの会」=「グリーンシティ防災会議」と勘違いしている人も多いようです (^o^) 。グリーンシティでは常に、楽しく防災会議をやろうと決めて実行しています。眉間にシワ寄せていては、長続きしませんよ。(^_^)


「1000円出しの会」につられて防災会に入ってしまったH氏のコメントコーナー ご期待を!

「土手の花見」の精神をとは?

「土手の花見」の精神を引き継ぎます。
防災を「防災」と語らずとも、防災の果たす役割を語ること、それが、加古川グリーンシティ防災会のコミュニティへの仕掛けです。
さて、「土手の花見」とは、
 先人に、知恵のある人がいたのでしょうね。ある深い意図を持って、土手に、 春に花を咲かせる桜の木を植えたんです。人々は、花をめでる愛でるために、あるいは、仲間とのひとときの語らいを楽しむために、土手に集います。そのことによって、冬の間、霜柱によってゆるんできた土手が踏みしめ固められるのです。そして、梅雨の出水期に備えるのです。
 荒っぽい表現かもしれませんが、こういうような、社会に正面から防災を防災と語らずとも、防災の果たす役割を語ること、仕掛けとして、隠された仕掛けがあったのではないのでしょうか。そういったことを「土手の花見」というふうに考えています。
 この話は、人が寄りつかなくなれば、いろんな意味で危険地帯になると言うことを言っていて、今現在は、土手に桜を植えると根っこが土手に穴を開けてしまうとか、川の近くには行かせないようにするとか、どんどん人が入れなくなり、人が寄りつかなくなる、そこでまた、人の目がないので事故は起こるし、まして、犯罪者の格好の場所になっていると言う悪循環になっているのだと思います。
 強靱な土手を作っても、人が「継続して」メンテナンスを行わなければ、間違いなく大きな被害が発生すると言うことです。
 
 また、一部の人間が運営するのではなく、皆の持っているいろいろな知恵や能力を合わせることが力になるのです。それぞれの持っているノウハウは限られていますので、限られた人間が運営するということは非常に限られた運営しかできません。同じように、「まちづくり」も限られた人たちだけが請け負ってしまったのでは、非常に限られた内容しかつくれないのです。
 ですから、皆の知恵を生かせるシステムをつくらないといけないというのが、
まさにコーオペレーション(協働)とコラボレーション(共創)なのです。
 「まち」というのは必ずしもハードだけではなくて、ソフトとハードが複合したものです。私はその中のコミュニティそのものもライフラインだと思っているのです。生きていくために一番必要で基本的なインフラ(水道・ガス・電気)をライフラインと言うのであれば、コミュニティはまさにライフラインなのです。