■ 第9回「ぬくもり!」 | 2009.10.5 |
その時、金田さんがやって来た。 金田:「食べるものがないかと多くの人がやって来ていますがどうしましょう?」 平山:「そうですね。地震発生から8時間たちましたからね。当然、今日は昼食をとっていない人が多いんじゃないでしょうか?私たちも全く食事はしていないのですからね」 志村理事長:「そうだ!夏祭りや餅つき大会で使っているガスコンロや鍋を出してきましょう」 山田自治会長:「それじゃ、自治会倉庫から出してきますのでお手伝いできる人お願いします」 平山:「その間にみんなに呼びかけて、食材を提供していただける人を呼びかけましょうよ」 津田:「でも、みんな自分の家にないから食べ物を探しに来ているのではないのでしょうか?」 大石:「考えていてもしかたがありません!とりあえず呼びかけましょう!そして、その間に金田さん集まってきた人たちで知恵を出し合って、どのようなものができるのかレシピを出しあってみてください。これだけ居るんだから良い知恵が浮かぶはずです。お願いします」 金田:「了解!なんでも良いですよね!ある食材でできる限り多くの人に分けることができて、早く作れるものを考えます」 平山:「ガスの備蓄はありましたか?」 山川管理員:「備蓄と言う程はありませんが、小さなボンベが3本ありますよ」そこに小橋さんと星崎さんが戻ってきた。 星崎:「えっ!食べ物なんかできるのかな?」 小橋:「それならちょうど、今度の地域清掃活動クリーン作戦の時に使おうと良いものをレンタルしていたところですよ」 大石:「えっ、どんなものをレンタルしていたんですか?」 小橋:「イカ焼き機ですよ。大阪出身の平山さんがこの前にイカ焼き食べたい!食べ たいって言ってたでしょう。だから、来週のクリーン作戦の後、イカ焼きをしてお手伝いしていただいた方々に焼いて配ろうと思っていたんです。その為に『焼き方や味の研究』にと、早めにレンタルしていたんです。ちゃんと理事長とも相談していますよ。費用のこともあるのでね」 平山:「いや、実は私たちもみんなを驚かしてやろうと、イカ焼きの研究をしていたんですよ。焼き方や粉の配合も完璧なんですよ。でもねえ」 大石:「私たち?」 平山:「津田さんとね。こっそり。ところが家で練習できるのは簡単なイカ焼き機で家のガスコンロの上でやるものでして、どうもうまくいかなかったんで半ば諦めていたんですよね」大石:「何台レンタルしていたんですか?」 小橋:「1台だけなんですけどね。すぐに倉庫から出してきますよ」 大石:「不謹慎かもしれないけれど、なにかワクワクしてきましたね」 小橋:「出してきましたよ」 平山:「おおー!これや、本物のイカ焼き機や!」 大石:「ところで材料は何なのですか?」 平山:「小麦粉とだしの素と水。小麦粉はどの家にもあるでしょう」 大石:「イカは?」 平山:「大石さん!こんなときはイカなんかいらない!味付け用のソースやマヨネーズ、ポン酢にしょう油でもなんでもOKや」 大石:「平山さん!肝心の水は?」 小橋:「それがちょうど、クリーン作戦用の飲み物に水をペットボトルで240本用意していたんですよ。毎年、お手伝いしてくれる人の数だけね」 そこに津田さんが戻ってきた。 津田:「結 構、小麦粉は各家庭においおられるようですね。沢山集まっていますよ」 大石:「小麦粉一袋で500c程度ですよね。じゃ500cで何人前できるんですか。それと焼ける時間は?」 津田:「この大きさなら、半分に切れば約40人前は焼けますよ。焼き時間は1回焼 くのに約30秒程度ですね」 大石:「じゃあ、500人分焼くのに、ざっと4時間か?それとガスがもつのかな?」そこに木畑さんがやってきた。 木畑:「何か手伝うことはないですか?」 平山:「あっ、木畑さんガスの専門家でしたよね。実はプロパンガスを調達したいので すがなんとかなりませんか?」 木畑:「そんなことお安いご用や! すぐに取りに行ってくる!」 大石:「木畑さん、会社は近いの?」 木畑:「近いも何も、国道わたって直ぐだから大丈夫!まかせとき!」 そこに金田さんたちがやってきた。 金田:「手に入る材料で考えると、ありきたりだが、汁物が温まって体にもやさしいからね。もう、はじめてますよ!」 志村理事長:「たくさんの人がお手伝いに出てきてくれてますよ。みんなで頑張って乗り切ろう!」 そこに民生委員の山下さんがやって来た 「高齢者や障害者の方々の安否確認に回っているんですが情報の集約などお手伝いできる人はいませんか?」・・つづく 第9回の学習ポイント ● 災害直後は慌てて食糧を手に入れることより、まずは危険から自分の身を守ることを考えましょう。 ● 大量の保存食を用意するより普段使うようなもので保存のきくものを少しだけ余分にストックしておきましょう。 ● 食べては買い足すように心がけてください。 ● 地域では、普段からコミニュケーションをとり、みんなで助け合いましょう! |