■ 第8回「避難!」2009.10.5

その時、避難誘導班長の小橋さんがやって来た「自宅が怖いので避難所に行きたいと言ってる人がいるがどうしましょう?」
大石:「避難所に行きたいと言っている人を引き留めるわけにもいかないですよね。」津田:「そうですね。ただし、何処に避難したかを一応データとしてとっておいた方がよいですね。」
平山:「この近くの避難所は、数カ所ありますから、もしもの時の連絡手段としても良いですね。」
志村:「ただ、安易に避難所への誘導はどうかなぁ?」
平山:「そうですね。一時避難場所や広域避難場所と色々な場所があるのですが、一番近いのは一時避難場所の『ひなか南小学校』ですね。そして、『ひなか小学校』『ひなか中学校』『ひなか公民館』があり、広域避難場所は『ひなか公園』です。」
大石:「ところで避難したいと言っている人たちの自宅はどうなっているんでしょう?」
志村:「そう、まず、大切なことは、すぐに避難すべきかどうかを判断した方がよいのではないのかなぁ。さっきの地震の揺れでマンションがどの程度損傷を受けているのかを判断したらどうでしょう。安易に『怖い』だけで避難しても意味がないんじゃないの?」
小橋:「とりあえず避難したいと言っている人たちの現在の自宅状況を確認してみましょうか?」
大石:「そうですね。実際、行政から避難所が適切に運営開始されているのか。また、避難所は実際のところ安全なのか?と言うところからのスタートですね。じゃ、対策本部前に避難をしたいと思っている人たちを集めましょう。」
星崎:「それからマンションの損傷は外見から見てさほど感じないけれど、まずやれる範囲で損傷度合いを確認してみましょう。」
志村:「じゃ、津田さんは現在管理組合の修繕委員長なので津田さんと環境整備委員長の星崎さんと、あと建物関係に詳しそうな人を組織して確認してもらえませんか?」
星崎:「給水管や排水管などの損傷が確認できれば良いんだけどね!」
大石:「給水管の確認は判りますが、なぜ排水管まで確認が必要なんですか?」
星崎:「給水管も大事だけれど、排水管に損傷があった場合は、『途中階での汚水などの噴き出しや漏水』が発生すれば、2次被害3次被害に発展する恐れが出てくるんで
すよ。」大石:「じゃ、現在、水道の給水が止まっている間は良いけれど、給水が始まったと同時に『給水管破損箇所からの漏水だけではなくて、排水管破損箇所からの溢水など』凄いことになってしまいますよね。」
平山:「ところで避難したいと思っている家庭は、避難する際に『必ずブレーカを落として』から避難してもらってくださいね。」
大石:「それはなぜなんですか?」
平山:「思い出してみてください!阪神淡路大震災の時のことを!あの時の火災発生は、地震直後停電になり、その後、慌てて通電を開始してしまったものだから、通電火災が多くの箇所で同時に発生したんですよ。」
大石:「えっ、通電火災って?」
平山:「地震で倒れた電気ストーブやコタツに通電され発熱し近くの燃えやすいものに燃え移ったり、ドライヤなどの発熱器具からの発火や、熱帯魚の水槽用のヒータなどからも発火したケースがあったと聞いています。」
大石:「じゃ、実際のところ安易に電力を回復させるのは待った方がよいと言うことですね。」
平山:「ただ、居住者の人たちが如何にそのことを納得していただけるかでしょうね!」
大石:「じゃ、話は元に戻ってしまうのですが安易に避難をして居所がわからなくなり、連絡がつかなくなった家庭がある場合、各棟全ての家庭の電力を回復させることは駄目なんですよね。」
山川管理員:「いえ、棟すべての電力を回復させられないのではなくて、縦系列ごとに居住者から確認がとれれば、電力を縦系列ごとに回復させることができますよ。」
大石:「と言うことは、やはり避難所に行く場合は、先に各住戸内のブレーカを落としていただく必要がありますね。」
平山:「じゃあ、志村理事長、現時点で全棟停電中なので電気室の縦系列メインブレーカは安全を考え落としましょうか?」
志村:「そうですね。火災の被害を未然に防ぐことが第一ですから『落としておきましょう!』電気の回復は安全確認後に縦系列ごとにおこなっても問題はないでしょう。」

・・・その時、管理事務所で流されていたラジオから、つぎのような情報がアナウン
スされる。

●アイロンやヘアドライヤなど、使いかけの電気製品がないか確認してください。
●使いかけの電気製品は、必ずコンセントから抜いてください。
●電気器具が倒れたり、煙が出ていないでしょうか?
●熱帯魚水槽の電気ヒータが外に落ちていませんか?
●家を空ける場合や避難する場合は、必ずブレーカを切ってください。
●電気の復旧状態や復旧予定は、情報が入り次第お聴きのラジオでお伝えいたします。
その時、給食・給水班長の金田さんがやって来た「たくさんの人が食べるものがないかとやって来ていますがどうしましょう?」・・・次回へつづく

第8回の学習ポイント

●各自治体では地域の学校や公民館などを避難所として指定しています。医療品も備蓄されているところもあり、救護所として機能するところもあるので、地域住民だけではなく多くの被災者が災害直後の拠点として利用することになります。しかし、ここにいれば絶対に安全と言うわけではありません。避難所は一定の広さを確保できる公共施設に過ぎず、耐震性に問題がある避難所もあるので公共施設だから大丈夫と過信してはいけないのです。
※参考文献「災害紙上訓練・DPG」は神戸新聞総合出版センター発行「守れいのちを・阪神淡路大震災10年後の報告」、ニッポン放送発行「生きるための75の教え」、(株)マイクロマガジン社「彼女を守る51の方法〜都会で地震が起こった日〜」