■ 第7回「協力!」2009.10.5

その時、自治会長の山田さんがやって来た。
山田:「たくさんの人がお手伝いすることがないかと言ってきてるんだけどね。自治会副会長の谷脇さん、民生委員の山下さん・中田さん、管理組合理事の中山さん、金田さん、糸倉さんに大石さんの弟も来てるよ」
平山:「これだけの人が集まってきたので安全対策本部を設置しましょう」
大石:「安全対策本部?」
津田:「そうですね。まず、それぞれができることを考えましょう」
平山:「班を決め、それぞれに班長を決めていきましょう」
大石:「どのような班を作るのですか?」
山川管理員:「私たちのマンションには、まだ設立されていないんですが自主防災組織設立マニュアル『自主防災組織の手引−コミュニティと防災−』に則ってやりましょうよ」
大石:「今からそんなもの見てやるんですか?」
平山:「大石さん、ノウハウを持っていない我々が今やれることは、それが一番近道かもしれないよ」志村:「とりあえず自治会の持っているテントやビニールシートを使って、マンションのふれあい公園に本部を設営していきますので、平山さん!そっちはお任せしますね」
平山:「了解!では今ここにいるメンバーで班分けをしておきましょう」
大石:「えーっと、自主防災組織の編成は22ページの『自主防災組織には、組織をとりまとめる会長をおき、そのもとに次の活動班を編成する。
活動班ごとにも指揮者(班長)を定める。(ア)情報班(情報の収集・伝達、広報活動)
(イ)消火班(出火防止、消火器、可搬式小型動力ポンプ等による消火活動)(ウ)救出・救護班(負傷者等の救出・救護活動)(エ)避難誘導班(住民の避難誘導活動)(オ)給食・給水班(水・食料等の配分、炊き出し等の給食・給水活動)、そして連合自治会や大きな自治会等の大規模な組織では、本部班など各活動班の連絡調整機関を設け
ると効果的である。』って書いてあるなぁ」
平山:「じゃあ、情報班はPCプロの大島さん、消火班は消火器を使える大石さんの弟さん、救出・救護班は、医療関係の中山さん、避難誘導班は、緻密な分析ができる検査技師の小橋さん、給食・給水班は、多くの人が扱える学校関係の金田さん、それと大切な今後も必要となる治安対策の警備班もですよね。じゃあ警察との連携も考えて自治会副会長の谷脇さん、それからもう一つ大切な高齢者や独居老人・障害者のいらっしゃる家庭に安全確認で民生委員の山下さんに中田さん、そして理事長の志村さんと自治会長の山田さんと山川管理員さんは、それぞれのとりまとめのため本部にお願いします。特殊作業等の専門だった星崎さんと、私、平山は本部情報整理と統括実務で自主防災組織の副会長としておきましょう、津田さんは段取りが上手いのと人当たりが良いので、各班への対応役で自主防災組織の幹事長をお願いします。そして、マンションのご意見番の糸倉さんはマンションの諸々の図面確認や情報班と共に集まってくる情報処理にあたってください。」
大石:「平山さん?私が忘れられているんですが?」
平山:「ホントや!残っているのは、あっ自主防災組織の会長でお願いします」
大石:「会長?!」
平山:「じゃあ、それぞれが後からやって来る人たちにお願いして各班の編制をお願いします」
大石:「ちょっと、平山さん!」
平山:「大石さんグズグズ言わずに、本部設営のためのテントをたてに行きますよ」
その時、管理事務所で流されていたラジオから、つぎのような情報がアナウンスされる。
●各家庭がバラバラに行動していては、混乱はいっそうひどくなります。地域の人たちがお互いに協力し、助け合ってこそ被害の軽減に結びつきます。近隣の方々と助け合いましょう。
その時、避難誘導班長の小橋さんがやって来た、「自宅が怖いので避難所に行きたいと言ってる人がいるがどうしましょう?」・・・次回へつづく

第7回の学習ポイント
●自主防災組織は、「自分たちの地域は自分たちで守る」という自覚、連帯感に基づき、自主的に結成する組織であり、災害による被害を予防し、軽減するための活動を行
う組織です。災害対策の最も基本となる法律である災害対策基本法においては、「住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織」(第5 条第2 項)として、市町村がその充実に努めなければならない旨規定されている。
※参考文献「災害紙上訓練・DPG」は神戸新聞総合出版センター発行「守れいのちを・阪神淡路大震災10年後の報告」、ニッポン放送発行「生きるための75の教」、総務省消防庁から「自主防災組織の手引