■ 第6回 「救出!」2009.10.5

その時、F棟の星崎さんが走ってきた。
星崎:「停電でエレベータに誰か閉じ込められている」
大石:「閉じ込めにあっているのはどんな人ですか?」
星崎:「朝の散歩から帰ってきた、おじいちゃんとおばあちゃんらしい」とそこに続いて、D棟の大島さんが走ってきた。
大島:「D棟も今の停電でクラブ活動に行く中学生がエレベータに閉じ込められている」
平山:「他の棟でもエレベータの閉じ込めが発生していないかすぐに点検しましょう。確認後、必ずこの管理事務所まで戻ってきてください」
平山さんの提案により、みんなで手分けしてエレベータの点検を行うことにした。十数分後、それぞれに点検を終え戻ってきた。どうやら幸いにも他の棟ではエレベータの閉じ込めは無かったようだ。その間に山川管理員さんが、エレベータの管理会社に連絡をしていた。
大石:「山川さん、電話つながったんですか?」
山川:「事務所の電話も携帯電話もまだつながらないのですが、管理事務所前の公衆電話がつながったんです」
大石:「公衆電話はつながったんですか?」
平山:「災害時は電話回線が回復しても回線を絞っているためにかかりにくくなるのですが、公衆電話は災害時優先電話となり、優先的に接続できるようになると言うのを聞いたことがありますよ。エレベータの中のインターフォンはつながらなかったのかな
ぁ?」
山川:「たぶんインターフォンは、通常の電話回線を使っているので、これだけ大きな災害の時には回線がつながらないんですよ」
大石:「ところでエレベータの管理会社がくるまでどうすればよいのでしょうか」
津田:「とりあえずエレベータ内の人の体調など確認したほうが良いでしょうね」
大石:「F棟は星崎さんと志村さんが、声かけをしていただいています。D棟は大島さんと小橋さんが中の中学生に声かけしていただいています」
そこにF棟から志村さんが戻ってきた。
志村:「エレベータの中のおばあちゃんが少し気分が悪いと言っていますよ。中は、かなり暑いようですね。それから、おじいちゃんはトイレに行きたいと言ってるんですよ」
津田:「なんとかする方法はないものでしょうか?」
平山:「とりあえずエレベータの管理会社を待つしか仕方がないですね」
・・・2時間が経過・・・
山川:「エレベータの管理会社がやっと来ました」
大石:「どちらから救助に向かってもらいますか?」
平山:「F棟のおじいちゃんとおばあちゃんの方へ急いでください」
津田:「中学生には私が連絡してきます」
大石:「とりあえずひと安心でしょうかね」
平山:「でも、エレベータからの救出は、手順があるのでもう少し時間がかかるでしょうね」
F棟から星崎さんと志村さんが帰ってきた。
志村:「無事、救出完了しましたよ。でも、おばあちゃんの方は少し気分が悪いと言っていましたよ。大丈夫かなぁ?」
そこにD棟から大島さんと小橋さんが帰ってきた。
小橋:「中学生は元気でしたが、救出後、トイレに走っていきましたよ」
その時、管理事務所で流されていたラジオから、つぎのような情報がアナウンスされた。
●地震や火災の時は、エレベータは煙突と同じように煙の通り道になるので危険です。絶対に使用しないでください。
●エレベータの閉じ込めが多発しています。むやみにドアを開けると危険です。絶対に行わないでください。
その時、自治会長の山田さんがやって来た「たくさんの人がお手伝いすることがないかと言ってきていますよ」・・・次回へつづく

第6回の学習ポイント

エレベータに乗っているとき地震にあったら
●すべてのボタンを押して、できるだけ早く停止させることが「閉じ込め」を回避する手段です。
●万一閉じこめられてしまったら、非常用ボタンを押し続けると、サービス会社につながるので、プレートに書いてあるエレベータ番号を言って救助を依頼します。

災害時優先電話
●通信ネットワークは、中継回線の利用に際し、災害時優先電話、公衆電話からの利用できる回線を優先的に確保(優先回線)し、残りの回線を一般電話の利用回線とします。(災害発生時のみ)
●災害時優先電話からの電話が多くなると、一般回線の利用回線を減少させ、優先回線を増加させ、災害時優先電話への影響を回避します。(NTT西日本HPより)
※参考文献「災害紙上訓練・DPG」は神戸新聞総合出版センター発行「守れいのちを・阪神淡路大震災10年後の報告」、ニッポン放送発行「生きるための75の教え」
※グリーンシティ防災会では、エレベータ管理会社「日立ビルシステム」の協力により、適時、エレベータ応急手当訓練を開催しています。