■ 第2回 「停電!静寂?余震への前触れ」2008.8.29

停電したままだ!「まだ余震がくるの?」と子どもたちが不安げに父に聞いた。

「あれだけの地震だ。まだあれくらいの余震は来るはず。自分の身は自分で守れ!それはお前達がしなければならない最低限のことだぞ」
妻は割れた食器で足を切って出血している。
「救急箱とってくるから、待ってて」
父は救急箱をとりに、しかし、割れた食器が散乱している。
足元に気を付けながら、さてクローゼットを開けようとするが中のものが崩れているのか、なかなか扉が開かない。
開いたとたん、ガラガラガラ・・・中からこぼれ落ちてくる。
その中から救急箱をとり出す。
そして、玄関に行き、倒れた下駄箱の下から自分の運動靴を探し出して履く。
そして、家族の運動靴も取り出し持って行く。
子どもたちに
「靴を履きなさい。落ちている物で足を切るかもしれないから!」
「はい!」
妻の足の傷を見るかぎり、幸い割れたかけらは傷の中に残っていないようだ。
傷の上に布をあてて手でギュッと患部を圧迫する圧迫止血をした。
しばらくして止血してきたので、ガーゼを当てて三角巾を包帯にして結んだ。
妻は「こんな傷だったら、普通はすぐ病院に行くよね。」
と苦笑いした。
「でも、この地震だ、病院もパニックだろうな!だから、ちょっと我慢しような」
「お父さん、こんなことよく知ってるね。」
子どもたちが言う。
父は心の中で『上級救命講習受けといてよかったぁ』と思った。

その時、ラジオから緊急情報がアナウンスされる。

・揺れは一応おさまっていますが、まだ余震の起きる恐れがあります。
・ガス漏れの恐れがないことを確認するまで、たばこは吸わないでください。マッチやライター、ロウソクも使用しないでください。電気のスイッチを入り切りしないでください。漏れているガスに引火する恐れがあります。
・ガス・水道・電気は注意してすみずみまで点検してください。
・電話は、回線に限りがあります。消防車や救急車の必要な方以外はしばらく電話は使用しないでください。
・水は、無駄にしないでください。
・家の中でガラスや食器が割れている場合は、ケガをしないように底の厚い丈夫な靴を履くようにしてください。軍手も着用してください。
・棚の上の物やテレビの台などを点検してください。余震で落ちることがあります。
・クローゼットや食器棚の中も確認してください。中の物が崩れてくる恐れがあります。
・子どもやお年寄りに、注意を向けましょう。小さい子どもは、たとえ大丈夫そうにみえても、不安を解消するため、やさしく話しかけ、そっと抱き上げてください。ひとり暮らしのお年寄りが近所にいたら様子を見てあげましょう。
・むやみに外に出ないようにしましょう。上から落ちてくる物などで、ケガをする恐れがあります。
・隣近所と連絡を取り合い、お互いに協力して助け合
いましょう。

その時、玄関のドアを激しく叩く音がした。ドンドンドンドン・・・・次回へつづく

第2回の学習ポイント

@ ライフラインの確認をする
電気のブレーカーを落とし、ガスの元栓を速やかに閉める。水道の蛇口も確認する。
電話の受話器が外れていないか確認する。

A ガスのにおいがしないか確認する
安全が確認されるまで、絶対に火は使わない。マッチやライターなどタバコも厳禁!

B 電気製品のスイッチは入ったままになっていないか確認する
アイロンやヘアドライヤー、電気ストーブや電気カーペットなど、必ずコンセントから抜く。

C 生きる上でもっとも重要なライフライン「水」
日頃から、お風呂など流さずに翌日まで汲み置きしておきましょう。

D 切り傷などで出血していれば、応急手当の「直接圧迫止血法」をする
傷の上に布やガーゼ等をあてて手でギュッと患部を圧迫すればたいていの出血(動脈性出血以外)は止まります。もしガーゼに血液がしみてきてボタボタ垂れるくらいの出血の場合、すでに当てているガーゼの上から新しい布を追加して圧迫を続けます。決して最初に当てたガーゼは外さないこと。せっかく血を止めるために出来かけていた血餅(血の塊)を剥がしてしまうことになります。

※みなさんも家族と一緒に「災害紙上訓練・DPG」で仮想訓練を!