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テキストで直接読める「防災だより」

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2023年10月号
 2023年10月号の音声読み上げができます。
 今回は新海誠監督『すずめの戸締まり』から防災の学びを一緒に探しましょう。
【あらすじ】
 扉の向こうにはすべての時間が存在した。
九州の静かな港町で叔母と暮らす17歳の少女「岩戸鈴芽(いわとすずめ)」。
ある日の登校中、美しい青年とすれ違った鈴芽は「扉を探してるんだ」という彼を追って、山中の廃墟へと辿りつく。
しかしそこにあったのは、崩壊から取り残されたように、ぽつんとたたずむ古ぼけた白い扉だけ。
何かに引き寄せられるように、鈴芽はその扉に手を伸ばす。
やがて、日本各地で次々に開き始める扉。
その向こう側からは災い(ミミズ)が訪れてしまうため、開いた扉は閉めなければいけないのだという。
常世(とこよ)という星と夕陽と朝の空が存在する不思議な場所に迷い迷い込む。
しかしその場所には、すべての時間が溶けあったような、空間が広がる。
不思議な扉に導かれ、すずめの『戸締まりの旅』がはじまる。
行く先々で、人に巡り会い、助けられ、大切な何かを成し遂げていく。
新海誠監督が自ら執筆した小説です。
 この作品に防災の学びが多く潜んでいます。
繰り返し観ることで防災宝探しができるのです。
その宝物を探してみましょう。
まずはポスターにも表現される言葉『行ってきます』。
自分が今からここには居なくなり、何処何処へ移動しますという主張です。
ここには相手に『伝える』という重要な情報伝達があるのです。
「居るのか、居ないのか」もしもの時、判らなければ無駄な安否確認から始まってしまいます。
更には一分一秒を争うときに時間を無駄に使うことになるのです。
『行ってきます』特に自分の大切な人には、必ず伝えましょう。
伝え方は色々あり、言葉、LINE、メール、SNS等、他にも自分に合った伝達方法を探しましょう。
 「行ってきます」この言葉と表裏一体なのは『ただいま』。
そして続くのは『おかえり』。
短い言葉で大きな情報のやりとりをします。
とても大切な存在証明と安否確認です。
人と人は『挨拶』から関わりをはじめます。
関わりが強くなれば「行ってきます」の後に「どこいくの?」と個人情報やプライベートなことまで。
この「どこいくの?」と交わせる関係構築は防災を行う上で重要なキーワードになっていきます。
作中では、スタートからエンディングまで大切な情報が詰まっています。
最初から最後まで、目を離さず見て頂きたい作品です。
勘違いされるのは『震災』という災害を取り上げているかのようにも思われていますが、そうではありません。
防災そのもの、備えることの重要性、誰もが持つ『心の要石』の必要性を強く伝える作品だと考えます。
 落語にでてくる会話で「どこいくの?」と。
すると相手の答は「ちょっとそこまで!」という会話がありますが、これでは情報の大切なモノが欠けています。
やはり「どこ何処に行く」と胸を張って伝えることが出来るようにならなければお互い様という信頼度は上がりません。
防災力のアップには『情報の伝達』は、切っても切れぬ欠かせぬものです。
 作品の主題的な『扉を閉じる、鍵を掛ける』。
何気ない日常のひとつの動作です。
他にも色々と日々の暮らしの中で当たり前に行う動作があります。
でもそれらは「これをする!」という確認と決意そして決断が必要なのです。
そこには『覚悟と責任』が纏わり付きます。
その何気ない描写を題材に描かれた作品でもありますが、その何気ない動作がトテモ強い想いを持つのです。
それがキーワード『守る』。
何を守るのかは、人それぞれ違います。
大切な人なのか?大切なペットなのか?大切なモノなのか?それはその人にしか決められないことです。
それに対して、他人が正解・不正解と色付けられるものではありません。
その人にとって『トテモ大切な存在』それを守るのが『防災』なのです。
 『防災』とは人それぞれの危機管理システムの総称でもあります。
それに対して正解⭕️・不正解❌とは判定できません。
ただし、危機管理システムが動いていない場合は、システム始動のお手伝いが必要な場合があります。
「守るべきものが判らない時」です。
そのお手伝いであったり、切っ掛け作りが防災学習なのです。
決して誰もがイヤだと考える災害の為ではありません。
防災学習を誰もがとてもイヤな災害の為と位置づけるとモチベーションは続きません。
だから、そのスタートラインを、その人に合わせて引くことが重要なのです。
防災を行う上で『自分は何を守りたいのか?』ここから考えてみることをスタートラインにしましょう。
それが『鍵を開け、扉を開く動作』なのです。
そこには重い「心の要石」の存在があります。
その『要石』を作中では、要石が変化した猫の「ダイジン」となり人の心に災害の為だと真っ正面から伝えるのではなく伝え方を変えて導きます。
『防災を防災と語らずとも、防災の役割を果たすこと』これをダイジンが実践しているように描かれています。
次回に続く

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