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テキストで直接読める「防災だより」

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2021年11月号
  人によって「守るもの」が違う。これは当たり前のこと。にもかかわらず「防災」といえば、皆は同じことをやろうとします。何故そうなるのでしょうか?そこには、目指すゴールを置き間違えていることで同じ防災をしてしまうのだと考えられます。
 『地震で揺れたら避難。台風が来たら避難。水害になったら避難。』これはすべて災害側が主導権を持った行動です。だから「命がけの行動」となってしまうのです。防災というものは、災害が発生した瞬間には、防災行動は終えていることが重要です。
 『地震で揺れても大丈夫。台風が来ても大丈夫。水害になっても大丈夫。』これが「本当の備え」です。でも、自分が考えて備える行動を越えるいわば「想定外」もいつかは起こるかも知れません。極端な例では「大隕石が落下する」となれば、もう諦めざるを得ない『限界』もあるかも知れません。但し、そのような想定を考え始めると切りが無く、怯え続けて生活しなければならなくなります。自分でここまでは備えるというライン引きと「守るべきものを定義(決めて)して守る」というゴールの設置が大切です。
 少し考えてみましょう。「あなたは何を守りたいですか?」と尋ねられるとどのように答えますか?防災のスタートラインはここに存在しているのです。
 過去に何度もお話ししていますが「あなたは何のために防災をするのですか?」と尋ねると、多くの人は『大災害(地震・台風)が襲ってくるから』と答えます。続いて「大災害が襲ってきたら何を守りますか」と尋ねると、多くの人は「命」と答えます。続けて質問「それは誰の命ですか?」と尋ねると、多くの人は直ぐに答えが出てきません。出てきたとしても「自分の命」「家族の命」です。更に「どのようにして守るのですか?」と尋ねると、ある人は「備蓄をしている」「心肺蘇生法を習った」「防災訓練に参加した」「消火器が使える」「自宅の耐震化をした」「家具の転倒防止」「何かがあれば避難所に避難します」等々、様々な答えがあります。皆さんお気付きになりましたか?これらの答えは災害が発生した後の対応がほとんどです。「自宅の耐震化」「家具の転倒防止」は地震発生前に焦点を当てていると考えられます。ただし、揚げ足を取ったイヤな言い方ですが耐震化・家具の転倒防止をしたら安心ではないということは付け加えます。なぜなら自宅内にずっといるわけではないのですから。
 では、大災害が発生した瞬間に、あなたの考える「大切な人はいつもそばにいるのですか?」と尋ねると、ほとんどの人が「365日24時間一緒に居ることは不可能でしょう!」と答えを返されます。多くの人は心の中で判っているのです。それは「自分以外を守ることは至難の業(不可能だとは言いません)だ」ということを。ところが様々な媒体で「防災活動・防災行動はこれだ」と決めつけた発信に一抹の不安不審を抱きながら皆と同じことをすることで心に安心感を自分で植え付けようとしてしまっているのです。これは『鵜呑みの防災』をしている結果なのです。
 では「どうすれば良いのか?」と多くの人に尋ねられます。答えは簡単!『過去を見直せば良い』のです。過去の災害後に自分に必要なものは何だったかを災害後に気が付いた人が多いのです。実際に災害に出遭ってしまったら『命がけの一か八か!』となります。なので年に2度(夏・冬)少しの時間で良いので『もしも災害に出会ったら!』を考えてみる時間を作りましょう。そうすれば、自分が必要とするもの、自分が守りたいものを守り抜く方法が見えてきます。でも、一度に多くの災害を同時に想定してはいけません。今回は地震、次は台風とひとつひとつやってみましょう。想定が難しければ、過去に発生した災害に自分を置くことで「自分ならどうする」と考えてみることです。ひとつだけルールがあります。最初から『誰かが助けに来てくれるだろう』という答えは反則。この反則は『一か八か!のギャンブル』を最初から「自分に当たる」という間違った答えを導き出すことになります。
 コロナ禍により地域全体の防災訓練が開催できません。コロナ禍だからこそ新しい防災訓練をやるときなのです。でも自分だけだと「どうすれば良いのかが判らない」と仰る方も多いでしょう。どんなことでもよいので『疑問を抱くこと』からスタートです。
 先日、小学生から質問がありました。「防災井戸は何メートル掘っていますか?」「防災井戸はできてから何年たっていますか?」。「そんなこと」を聞いてもと仰る方もいます。でも私にとっては大切でとても嬉しい質問でした。なぜなら小学生の頃から『防災を学んでいる』のです。「そんなこと」と思ったあなた!質問には答えることはできましたか?防災井戸1号・2号共に地下30メートル掘っています。もう一つの答えは、防災1号井戸は2006年・2号井戸は2013年完成です。最後に誰もが知っていることを質問します。皆さん『1+1=2』。なぜ「2」になるのですか?知っている当たり前のことが実際には理解できていないということが潜んでいます。・・・つづく

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